今年のインフレに対してフランス国民の購買力を守るためにフランス政府は8月4日に購買力保護法案を成立させた。
この内容を見てみます。
1.ガソリン購入への政府援助
これは現在も1ℓあたり0.18€の援助が行われていますが、この9月より援助額が0.30€に上がり9月、10月とその恩恵を受けることができ、11月からは0.1€に援助額が下がります。
このガソリン購入への援助は当初、低所得者層、車を多く乗る人を対象としていましたが、最終的にみんな恩恵を受けることができるようになりました。
2.エネルギー価格の上昇を抑える
2022年末まで電気料金の値上げは最高4%までとし、ガス料金は2021年10月の料金のまま維持させるよう決定。
灯油を使って暖を取る低所得者世帯に援助金を出す。
3.消費契約の解約をオンラインで可能に。
オンラインで契約したものに限り、消費者はあらゆる消費契約解約をオンラインでできるようになりました。
4.年金、生活保護、そして新学期援助金
年金、RSA(生活保護)、活動手当(低所得者が就職したり事業を行うときに支給される)、家族手当、障害手当が4%引き上げられます。さらに個人向け住宅手当(APL)も3.5
%増額されます。これらは7月1日からと遡って受け取ることができます。
9月からの新学期援助金は低所得者世帯は世帯あたり100€+子供一人あたりさらに50€支給されます。
5.レストランチケットの利用額と利用範囲の拡大
1日あたりの利用金額が19€から25€までに変更。そしてあらゆる食品にチケットが利用可能に。これらは2023年末まで利用できます。
6.貧困学生への学食を1€で提供
CROUSで提供される学食を2022−2023年度の期間を1€で提供されます。
7.家賃の値上げの制限(2023年6月まで)
家賃の値上げ幅は1年間で3.5%までに制限。これは250人以下の従業員を抱える企業への家賃にも適応されます。
8.テレビ税の廃止
138€かかるテレビ税の廃止がフランスの2700万世帯に行われます。
9.マクロンボーナス(購買力手当)が3倍に
ボーナスを受けた労働者は所得税と社会保険料の免税の対象額が今までは1000€だったが、今後3000€まで引き上げられました。ただし、この件については各企業の任意であるため、全員がこのボーナスの対象にはならないことに注意です。
このマクロンボーナス(Prime Macron)は今後Prime de Partage de la Valeur (PPV)という名前に変わります。
2024年から全社員対象に社会保険料の免除が行われますが、所得税は課税されます。
10.時間外労働に対する雇用者負担の軽減
従業員数20人以上250人以下の企業では、残業1時間あたり50セントの雇用主負担が軽減されるようになりました。また、2025年12月31日まで、時間外労働の非課税枠を5,000ユーロから7,500ユーロに引き上げられました。
11.RTT(La Réduction du Temps de Travail): 労働時間短縮の買い戻し実施
今後、企業は従業員が放棄したRTTの日数を買い戻すことができるようになります。このため、買い戻されたRTTは、2025年12月31日まで税金および拠出金が企業側には免除されます。
RTTとは、労働時間が週35時間を超える従業員に対して、1日または半日の休日を割り当てる制度です。RTT日数の給付は、契約(通常は会社の契約)によって決定されます。週35時間を超える労働者(特に企業幹部で39時間)が最大3週間ほど代休として取ることができます。
この度、このRTTの日数を代休を利用するのではなく現金で企業が買い取る(つまり労働者は現金で支払われる)ことができるようになりました。
12.従業員貯蓄の例外的な解除
現在から12月31日まで、希望する従業員は、総額1万ユーロを超えない限り、従業員利益分配制度やインセンティブ制度を非課税で解除することが可能です。13.自営業者の社会保険料の引き下げ
フランスで働く225万人の自営業者は、社会保障費の恒久的な削減の恩恵を受けることになります。この削減額は、SMICでの収入で、年間約550ユーロになります。最低賃金までの自営業者は、保険料を支払う必要がなくなります。
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