2015年7月14日火曜日

Loi Pinel(ピネル法案)についての感想



このところこのブログでも記事の題材にしていますが、今日のフランスにおいて不動産市場はあまり活気のいい分野にはなっていません。

ではフランスは不動産が人口に対して余っているのか?という疑問が沸くわけですがそういうわけでもないようです。
むしろまだ多くの住居が足りていない状況で住宅事情は国の重要な政策のひとつにあげられています。

 実際、パリ近郊で不動産の価格/家賃を見た場合、正直びっくりするような値段です。とてもじゃないですが、一般庶民が購入または借りられるような値段ではありません。

一部のお金持ちが複数の物件を購入して賃貸に回す不動産投資をおこなっているようですが、そんな状況が長らく続いているので借り手は今のアパートから動くこともできないので不動産市場の流動性が鈍くなっていると思われます。

昨年2014年9月1日より適応されるLoi Pinel(ピネル法案)の内容になります。

まずフランス国内において2015年1月ー2015年12月31日までの期間に新築または建築予定の物件を購入する人を対象に税金の免除を施すという法案です。
その免除の期間は9〜12年間、毎年最大6000€まで所得税から控除できることになります。

税金免除率はいくつの段階に分かれています。
そしてこの法案の大事なポイントになりますが、賃貸に回したときのみです。そして新築入居開始から12ヶ月以内に賃貸に回すようにという条件もついています。
つまり新築/建設予定のアパート/一軒家を他の人に貸す期間によって税金の控除額が変ってきます。

例を以下にだしておきます。

15.000€の物件の場合

ー6年間貸した場合(12%の所得税免除): 年間3000€または6年間で18000€の控除
ー9年間貸した場合(18%の所得税免除)  : 年間3000€または9年間で27000€の控除
ー12年間貸した場合(21%の所得税免除): 最初の9年間毎年3000€、その後の3年間毎年1500€。トータルで31500€の控除

続いて200.000€の物件の場合

ー6年間貸した場合(12%の所得税免除): 年間4000€または6年間で24000€の控除
ー9年間貸した場合(18%の所得税免除)  : 年間4000€または9年間で36000€の控除
ー12年間貸した場合(21%の所得税免除): 最初の9年間毎年4000€、その後の3年間毎年1500€。トータルで42000€の控除

最後に300.000€の物件の場合

ー6年間貸した場合(12%の所得税免除): 年間6000€または6年間で36000€の控除
ー9年間貸した場合(18%の所得税免除)  : 年間6000€または9年間で54000€の控除
ー12年間貸した場合(21%の所得税免除): 最初の9年間毎年6000€、その後の3年間毎年3000€。トータルで63000€の控除


次に貸す場合の家賃になりますが、法に記載されている上限を超えてはならないこと。そしてこの上限はZoneと呼ばれる4つに分かれて定められています。
Zone A bis: 16.72€/m2
Zone A   : 12.42€/m2
Zone B1 :    10.00€/m2
Zone B2 :      8.69€/m2

そして賃貸主の収入にも上限があり高収入の人には貸すことができないようにもなっています。
以下に細かく記載されているものを添付しておきます。


最後に物件の条件ですが、Loi Pinel法に入る区域であり、なおかつ環境に配慮した建物であること(RT2012またはBBC2005のマークのあるもの)となっています。

個人的なこの法案についての感想ですが、お金持ちの人に新築物件を買ってもらって不動産による景気をよくしようとすることとお金持ちのような高い税金を払っている購入者にとってのメリット、そして借り主側に少しでも住居を供給する目的という意味ではうまくまとめている法案のように思えます。

逆に庶民にはこの法案はあまりメリットがないものになるでしょう。払う税金が少ない場合は控除されても払い戻しがあるわけではないので増えることはありません。あくまで多くの出費(税金)をする人にメリットがあるだけです。
そのようなことから不動産投資というよりは節税に近い法案のように思えます。

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