2021年4月30日金曜日

フランスの今後の不動産価格の行方について

 最近になって賃貸収入を得ている知り合いの多くから入居者がなかなか見つからなくて困っているという話を聞くようになりました。

 

最初のロックダウンから1年ちょっと経ちますが、1年前よりも状況は深刻だと言っています。

 

昨年度の春は一時的に入居者が見つからなかったが、秋から通常に近い問い合わせがあり入居者が見つかっていた。しかし、今年に入り長引くコロナの影響により学生(特に専門学校、大学)は遠隔授業が定着し始めてフランス人は実家へ、留学生は祖国へ戻って授業を続けているという状況になっています。

テストの時だけ対面で受けることにあるのでその時にホテルやAirbnbなど短期滞在で済ませているという様子らしいです。


これは働いている人たちにも似たような状況になっています。

政府はテレワークを強く推奨しており、テレワークで仕事ができる人はより広く快適な生活を求めてイルドフランス(Ile de France)を含む大都市から離れた地方に住居を移しています。


このテレワークの流れはコロナが落ち着いた後も高い確率で維持されると思います。結局のところ、テクノロジーの発展のおかげで様々な仕事が遠隔でできるようになりました。

企業への問い合わせも電話よりもメール、チャットなどが主流になって来ています。これは電話による受付は一人あたりにかける時間が長くなり、どうでもいい問い合わせをしてくる人に当たった場合には会社の利益率(仕事効率)を押し下げることになります。

一方、メールやチャットでの受付は同時に数人に対して時間差を利用して対応できるので効率を上げることができます。

そしてメールやチャットでの対応はわざわざ会社にいなくても仕事をこなせます。会社の情報をクラウドを利用したアプリを通して安全に共有できる状況が今日できるのです。

 

コロナ以前にもできていましたが、なかなか新しいものに変えていくことは面倒なので多くの企業が今までのやり方で継続していました。これは企業の利益を考えるとよくない面でしたからコロナをきっかけに利益率が良くなった会社はうまくテクノロジーを利用しています。

例えば企業の活動がグローバルな場合、重要な会議は今までは外国に飛行機でいってました。この会議だけ見ても、時間に限って見てみると出発までの準備、移動、ホテル滞在と数時間の会議のために最低でも数日かかり、費用の面でみると準備する時間(各種検索、予約など)、交通費、宿泊費、食費、お土産代などもかかっています。

 

これだけでも企業が費やす時間と費用は相当なものでしたが、いまやズームなどのアプリを使ってビデオ会議でことが足りるということが多くの人に認知されました。

 

指定の時間にパソコンの前に座るだけ、会議の時間のみ仕事の時間を費やせるということを考えると天と地ほどの差があります。

 

特に大都市の一等地に構えていた企業には土地代だけでも相当費用がかさんでいたのでコロナ後にわざわざまた元の場所に同じスペースをとるということは考えにくいです。政府は先日、段階的に外出禁止例の緩和をすることを表明し、テレワークの緩和(解除)も盛り込んでいますが、果たして本当に今までのように会社に出社して生産性や利益率が上がるのかという点は疑問に感じます。

本当に物理的にないとできないもののみ会社に出る形がこれから本格的に定着すると予想されます。

 

さらにテクノロジーのこれから先を追っていくとより直感的に他人とのコミュニケーションが取りやすくなりそうです。

 

例えばホログラムを利用した(スターウォーズに出てくるような)お互いの顔や空間がより立体的に見え、話す内容も同時に何かに映し出されるのでもう画面を見ながらキーボードを打つというような原始的な作業はなくなっていくでしょう。

 

音声認識でそのまま『声による操作』が可能になると仕事の効率はさらに高まるはずです。これは例えば病院などにいくとマイクを使って情報を入力するお医者さんが増えているのを見かけることから容易に想像できます。

 

このようにこれから起こりうる産業革命を見据えると大都市で生活スタイルは今後大きく変わっていく気がします。

 

大都市において不動産を購入する意図は過去に不動産価格が上がり続けているから将来のキャピタルゲインを狙って購入される方が多い気がしますが、かつての日本の80年代までのバブルのように不動産価格は上がり続けるという『神話』が崩れたように、そのようなリスクもあり得ることを考慮しておいたほうがいいかもしれません。

 

フランスの大都市の不動産価格は今年に入って顕著に下がってきています。これを今が買い時でコロナが落ちつたら不動産価格が上がるというのは少し注意したほうがいい気がしますが、あくまで個人的な予想なので最終的にはそれぞれのリスク許容範囲次第です。


私個人の予想ではこれから中規模都市で自然環境のいい場所が人気が出てくるのではないかと思っています。若者が農業に興味を持って農家業を始めているというのも一つの傾向だと捉えています。

 

 

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